むし歯予防のフッ素利用
1.むし歯の成立とその予防法
むし歯の発生は、歯(歯の質)、むし歯菌、糖(ショ糖)の3つの要素が揃ってはじめて成立すると言われています(図下)。
したがって、その一つでも欠けた場合はむし歯ができないことになります。
このことは予防を考える上で大きなヒントになります。仮に、むし歯菌が全くいなかったり、糖(ショ糖)を全く摂らなければむし歯にならないわけです。
しかしながら、実際にはむし歯菌をゼロにしたり、糖(ショ糖)を全く摂らないということは不可能ですから、歯磨きや甘味制限に加えて歯の質を強化することも必要になります。
現在、歯質の強化に最も効果的なものがフッ素であると考えられています。

むし歯成立の3要素
2.むし歯予防とフッ素の利用方法
フッ素は地球上のどこにでも存在する元素で、水、土壌、そして生きている全ての生物に微量に含まれています。もちろん私達人間も例外ではなく、毎日、飲料水やさまざまな食品からフッ素を摂取しています。
このようなフッ素は次のようにむし歯予防に利用されています。
| 方法 | むし歯減少率 |
|---|---|
| フッ化物歯面塗布法 | 20~40% |
| フッ化物溶液による洗口法 | 20~50% |
| フッ化物配合歯磨剤 | 15~30% |
| 水道水へのフッ化物添加 | 40~60% |
| 食塩、ミルク等食品へのフッ化物添加 | 22% |
| フッ化物錠剤、液剤の内服 | 20~40% |

ライフステージによるフッ化物応用
3.なぜフッ素はむし歯予防に効果があるのか?
私達の口の中では、歯の表面にあるエナメル質の脱灰(むし歯菌が作る酸などによって歯が溶けること)と再石灰化(溶けたエナメル質が修復されること)が起こっています。脱灰量が再石灰化量を上回るとむし歯になります。
フッ素を使うと酸に溶けにくい丈夫な歯になると同時に、むし歯菌に直接作用して歯を溶かす酸の産生を抑制します。

なぜフッ素はむし歯予防に効果があるのか?
4.フッ化物洗口法
生えたばかりの永久歯は、幼弱でやわらかく、2~3年はむし歯になりやすい状態です。5~6歳ころ第一大臼歯が生え、小学高学年から中学生にかけて全て永久歯に生えかわります。したがってこの時期にフッ素を応用させると最も効果的にむし歯を予防できます。
この時期に適した応用法がフッ化物洗口法と言えます。幼稚園、保育園、小中学校でフッ化物洗口を行うことにより、多くの人に対し、同時にしかも継続的にむし歯予防を実行することができます。
フッ化物洗口法には、週1回法と毎日法(1日1回法)がありますが、どちらの方法でも仮に誤って全量飲み込んでも安全なようにフッ素濃度が設定されています。
その方法は非常に簡単です。
- ブラッシングで歯をきれいにします
- 洗口液を口に含みうつむいてブクブクうがいを約30~60秒間します
- 液をはきだします。30分間飲食をしません
5.秋田県や秋田市の現状
秋田県(12歳児の1人平均むし歯数:2.5本)や秋田市(12歳児の1人平均むし歯数:2.2本)の子供たちのむし歯は全国平均よりもかなり多いのが現実です。県別でみると、最もむし歯の少ない新潟県はすでに1人平均で1本を下回っていますから、1.5本以上秋田県が多いことになります。
秋田県と新潟県では何が違うのでしょうか?
新潟県もかつては子供たちのむし歯が多かったのですが、安全で安価なフッ化物洗口によりその数を減少させることに成功しました。
秋田市歯科医師会では秋田の子供たちの現状を少しずつでも改善し、一生涯にわたるお口の健康へと繋げていけるようフッ化物洗口を推奨しています。
新潟県の12歳児 1人平均むし歯数の変化。
新潟県では、フッ化物洗口を積極的に普及させることで日本一むし歯が少なくなったのです

4歳から中学3年生までフッ化物洗口を続けた時のむし歯数
参考文献
- 日本口腔衛生学会・フッ素研究部会:口腔保健のためのフッ化物応用ガイドブック 口腔保健協会、1997
- 真木吉信:フッ化物応用の科学と実際<その2>実際編、日本歯科医師会雑誌、Vol.56 No.11 2004-2
- 島田義弘編、岡田昭五郎、島田義弘、常光旭、堀井欣一、森岡俊夫著:予防歯科学、医歯薬出版、1983
- フッ素で守ろう秋田っ子の歯
